麦粒腫ができてしまった場合、その治療は「眼科」で行うのが基本です。自己判断で市販薬を使い続けたり、放置したりすると、症状が悪化する可能性があるため、早期に専門医の診察を受けることをお勧めします。眼科を受診すると、どのような診察や治療が行われるのでしょうか。まず、医師は「問診」で、いつから、どのような症状があるか、痛みやかゆみの程度、過去にものもらいになったことがあるか、などを詳しく聞き取ります。その後、「細隙灯顕微鏡(さいげきとうけんびきょう)」という、眼科の診察で用いる特殊な顕微鏡を使って、まぶたの状態を詳しく観察します。これにより、炎症が起きている場所や範囲、膿点の有無、そしてそれが麦粒腫なのか、あるいは霰粒腫や他の病気なのかを、正確に診断します。診断が確定すると、治療が開始されます。麦粒腫の治療の基本は、原因となっている細菌を退治するための「抗生物質」による薬物療法です。主に、抗菌作用のある点眼薬(目薬)や、より長く効果が留まる眼軟膏が処方されます。1日に数回、指示された通りに点眼・塗布します。炎症が強い場合や、複数の場所にできている場合、あるいは再発を繰り返している場合には、体の中から菌を叩くために、抗生物質の「内服薬」が併用されることもあります。また、痛みや腫れといった炎症症状を和らげるために、非ステロイド系の消炎鎮痛薬が処方されることもあります。多くの麦粒腫は、これらの薬物療法によって、数日から1週間程度で改善に向かいます。しかし、膿がパンパンに溜まって、痛みや腫れが非常に強く、自然に破れそうな気配がない場合には、医師の判断で、より積極的な処置が行われることがあります。それが「切開排膿」です。これは、点眼麻酔をした上で、膿点の部分を、注射針やメスでごく小さく切開し、中に溜まっている膿を圧迫して排出させる処置です。膿を出すことで、内圧が下がり、痛みや腫れが劇的に改善します。少し怖いイメージがあるかもしれませんが、処置は短時間で済み、傷跡もほとんど残りません。