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そもそも水いぼとは?原因ウイルスと感染経路
子どもの肌にできる、光沢のある特徴的なブツブツ「水いぼ」。その正体は、「伝染性軟属腫ウイルス(Molluscum contagiosum virus)」という、ポックスウイルス科に属するウイルスへの感染によって引き起こされる、皮膚の感染症です。名前に「水」とついていますが、水ぶくれ(水疱)ではなく、中身はウイルスに感染した細胞が変性してできた、白い粥状の塊(軟属腫小体)です。このウイルスは、ヒトにのみ感染し、特に、皮膚のバリア機能がまだ未熟な、幼児から学童期前半の子どもたちに多く見られます。また、乾燥肌やアトピー性皮膚炎を持つ子どもは、皮膚のバリアが弱っているため、より感染しやすい傾向にあります。では、この水いぼウイルスは、どのようにして感染するのでしょうか。主な感染経路は、「直接的な接触感染」と、「物を介した間接的な接触感染」の二つです。直接的な接触感染は、水いぼができている子の肌と、他の子の肌が、直接触れ合うことで起こります。兄弟間でじゃれ合ったり、保育園などで子ども同士が肌を寄せ合って遊んだりする中で、感染が広がります。また、自分自身の水いぼを掻き壊した手で、体の別の場所を触ることによって、ウイルスが広がり、水いぼの数が増えてしまう「自家接種」も、この一種です。一方、間接的な接触感染は、ウイルスが付着した物を、複数の人で共有することで起こります。特に注意が必要なのが、スイミングスクールや公衆浴場など、肌の露出が多くなる場所です。ウイルスは、高温多湿の環境を好むため、ビート板や浮き輪、あるいはタオルやバスローブなどを共有することで、感染が広がるリスクがあります。ただし、プールの水そのものを介して感染する可能性は、塩素で消毒されているため、極めて低いと考えられています。水いぼウイルスは、感染してから、実際に皮膚にブツブツとして現れるまでの潜伏期間が、約2週間から数ヶ月と、比較的長いのが特徴です。そのため、いつ、どこで感染したのかを特定するのは、非常に難しいことが多いです。