糖尿病の検査や治療を受ける上で、最も専門性の高い診療科が「糖尿病内科」「内分泌内科」「代謝内科」です。これらの科は、名称は少しずつ異なりますが、いずれもホルモンや代謝の異常を専門とする、内科の一分野です。糖尿病は、血糖値を下げる唯一のホルモンである「インスリン」の分泌が不足したり、その働きが悪くなったりする(インスリン抵抗性)ことで、血液中のブドウ糖(血糖)が過剰になる病気です。つまり、ホルモンの異常が病気の根幹にあるため、ホルモン(内分泌)と、糖の代謝を専門とするこれらの科が、まさに専門家集団となるわけです。これらの診療科には、多くの場合、「糖尿病専門医」という資格を持つ医師が在籍しています。糖尿病専門医は、日本糖尿病学会が定める厳しい基準をクリアした、糖尿病診療のエキスパートです。最新の治療薬に関する深い知識はもちろんのこと、食事療法や運動療法といった、糖尿病治療の根幹をなす生活習慣の指導、そして、後述する様々な合併症の管理に至るまで、包括的で、質の高い医療を提供する能力を持っていると認定されています。糖尿病の治療は、単に薬を飲んで血糖値を下げるだけではありません。患者さん一人ひとりの年齢や、ライフスタイル、合併症の有無、そして価値観などを考慮しながら、長期的な視点に立って、オーダーメイドの治療計画を立てていく必要があります。専門医は、そのための豊富な知識と経験を持っています。例えば、新しいタイプの治療薬の導入を検討したり、インスリンポンプのような高度な医療機器を用いた治療を行ったり、あるいは、糖尿病によって引き起こされる、腎臓(糖尿病性腎症)や、目(糖尿病網膜症)、神経(糖尿病性神経障害)といった、全身の合併症を予防・管理するための、定期的な検査計画を立て、必要に応じて、腎臓内科や眼科、皮膚科といった、他の専門科と緊密に連携を取りながら、チーム医療を主導していきます。特に、血糖コントロールが難しい場合や、すでに合併症が進行している場合、あるいは妊娠中の血糖管理(妊娠糖尿病)など、専門的な知識が不可欠な状況では、糖尿病専門医のいる専門科を受診するメリットは非常に大きいと言えるでしょう。
糖尿病専門医のいる「糖尿病内科」「内分泌内科」とは