マイコプラズマ感染症で、熱がなかなか下がらずに苦しんでいる時、医療機関での治療と並行して、家庭での適切なケアを行うことが、子どもの体力の消耗を防ぎ、回復をサポートする上で非常に重要になります。高熱が続いている時に、家庭でできるケアのポイントと、注意すべき点について解説します。まず、最も重要なのが「水分補給」です。発熱している体は、汗や速い呼吸によって、普段以上に水分を失っています。脱水症状は、体力を著しく奪い、回復を遅らせる最大の敵です。水やお茶、麦茶、あるいは電解質も補給できるイオン飲料や経口補水液などを、本人が欲しがる時に、欲しがるだけ与えましょう。一度にたくさん飲ませるのではなく、少量ずつ、こまめに飲ませるのがコツです。次に、「安静と睡眠」です。熱が高い時は、体がウイルスや細菌と全力で戦っている状態です。体力を温存するために、無理に活動させず、静かな環境でゆっくりと休ませてあげましょう。子どもが眠りやすいように、部屋を暗くしたり、好きな音楽をかけたりする工夫も良いでしょう。そして、「クーリング(体を冷やすこと)」です。高熱で子どもが辛そうにしている場合は、体を冷やしてあげることで、不快感を和らげることができます。太い血管が通っている、首の周りや、脇の下、足の付け根などを、冷たい水で濡らしたタオルや、タオルで包んだ保冷剤で冷やすのが効果的です。ただし、子どもが寒がって震えている時(悪寒戦慄)は、これから熱が上がろうとしているサインなので、冷やすのではなく、むしろ毛布などで温めてあげてください。服装は、熱が上がりきって汗をかき始めたら、熱がこもらないように、薄着で、吸湿性の良い素材のものに着替えさせましょう。食事は、熱が高い時は、食欲がないのが当たり前です。無理に食べさせる必要はありません。水分補給を最優先し、本人が食べたがるようであれば、ゼリーやプリン、アイスクリーム、スープ、おかゆなど、消化が良く、喉ごしの良いものを与えましょう。注意点として、市販の解熱剤の使用については、必ず医師の指示に従ってください。特に、インフルエンザなど他の感染症との鑑別がついていない段階で、自己判断で特定の解熱剤(アスピリンなど)を使用すると、ライ症候群という重篤な合併症を引き起こす危険性があります。