マイコプラズマ感染症の治療中に、熱がなかなか下がらない時、あるいは一度下がった熱がぶり返してきた時、保護者としては、どのタイミングで、どの診療科を再受診すればよいか、判断に迷うことがあるでしょう。ここでは、具体的な受診の目安と、適切な診療科について解説します。まず、受診すべき診療科は、最初に診断を受けた、かかりつけの「小児科」または「内科」で問題ありません。これまでの治療経過を把握している主治医に、再度診てもらうのが、最もスムーズです。もし、咳や息苦しさといった呼吸器症状が特に強い場合は、「呼吸器内科」の受診も良い選択肢です。次に、再受診を検討すべき「タイミング」です。以下の目安を参考にしてください。①抗生物質を飲み始めてから、48~72時間経っても、38.5度以上の高熱が続く場合。これは、処方された薬が効いていない、すなわち「薬剤耐性菌」の可能性を強く示唆します。治療薬の変更を検討する必要があるため、速やかな再受診が必要です。②一度解熱した後に、再び38度以上の熱が出てきた場合(熱のぶり返し)。前述の通り、細菌感染の合併など、新たな問題が起きているサインかもしれません。③呼吸状態が悪化してきた場合。これが最も重要なサインです。「咳がひどくなり、眠れない」「息が苦しそう、肩で息をしている」「息を吸う時に、胸や鎖骨の上がペコペコとへこむ(陥没呼吸)」「顔色が悪く、唇が紫色っぽい(チアノーゼ)」。これらの症状は、肺炎が重症化し、呼吸困難に陥っている危険な兆候です。夜間や休日であっても、ためらわずに救急外来を受診してください。④水分がほとんど摂れず、ぐったりしている場合。高熱と咳は、体力を著しく消耗し、脱水症状を引き起こしやすくします。「半日以上おしっこが出ていない」「口の中が乾いている」「泣いても涙が出ない」といった脱水のサインが見られたら、点滴による水分補給が必要なため、受診が必要です。⑤咳以外の、強い症状が現れた場合。「激しい頭痛や嘔吐を繰り返す(髄膜炎の疑い)」「胸の痛みを訴える(心筋炎や胸膜炎の疑い)」「耳をひどく痛がる(中耳炎の疑い)」。これらの症状は、重篤な合併症の可能性を示します。熱が下がらないという事実は、治療が順調に進んでいないことの現れです。
解熱しない時の受診の目安と何科に行くべきか