健康診断などで、「糖尿病予備群(境界型糖尿病)」あるいは、「耐糖能異常」と指摘された。これは、血糖値やヘモグロビンA1cの値が、正常ではないものの、まだ糖尿病と診断されるほどの高さには至っていない、「黄色信号」の状態です。この段階では、多くの場合、自覚症状は全くありません。そのため、「まだ病気じゃないなら大丈夫だろう」と、つい放置してしまいがちですが、それは非常に危険な考え方です。糖尿病予備群は、将来的に本格的な糖尿病へと移行するリスクが極めて高い状態であると同時に、この段階からすでに、動脈硬化が静かに進行し始めていることが分かっています。したがって、この「黄色信号」の時点で、いかに適切な対策を講じるかが、その後の健康寿命を大きく左右する、極めて重要な分岐点となるのです。では、糖尿病予備群と診断されたら、何科を受診すればよいのでしょうか。この場合も、基本的には、かかりつけの「内科」で十分な対応が可能です。内科医は、あなたの検査データと、現在の生活習慣(食事、運動、喫煙、飲酒など)を総合的に評価し、本格的な糖尿病への移行を防ぐための、具体的なアドバイスをしてくれます。予備群の段階での治療の基本は、薬物療法ではなく、「食事療法」と「運動療法」です。医師や、病院に在籍する管理栄養士、理学療法士といった専門家の指導のもと、自分に合った、継続可能な生活習慣の改善プランを立てていきます。例えば、食事では、総カロリーの適正化や、栄養バランスの見直し、食べる順番の工夫(野菜から先に食べるベジファーストなど)が指導されます。運動では、ウォーキングやジョギングといった有酸素運動を、無理のない範囲で、週に3~5日程度行うことが推奨されます。定期的に内科を受診し、数ヶ月ごとに血液検査で血糖値やHbA1cの推移をチェックしてもらうことで、自分の努力の成果が目に見え、モチベーションの維持にも繋がります。もちろん、より専門的な指導を受けたい場合や、他の生活習慣病も合併している場合には、「糖尿病内科」や「内分泌内科」を受診するのも良い選択です。予備群の段階での介入は、いわば未来の健康への投資です。指摘を受けたら、先延ばしにせず、ぜひ医療機関の扉を叩いてください。
糖尿病予備群(境界型)と診断されたら何科へ?