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水疱瘡の治療法と家庭での正しいケア
水疱瘡と診断された場合、その治療と家庭でのケアは、つらい症状を和らげ、合併症や傷跡を防ぐために、非常に重要となります。水疱瘡の原因はウイルスであるため、細菌感染症のように抗生物質は効きません。治療は、基本的に対症療法が中心となりますが、特定の条件下では抗ウイルス薬も用いられます。医療機関では、まず、最もつらい症状である「かゆみ」を抑えるための薬が処方されます。飲み薬としては「抗ヒスタミン薬」が、塗り薬としては、炎症を抑え、かゆみを和らげる「カチリ(フェノール・亜鉛華リニメント)」や、非ステロイド系の軟膏などが用いられます。細菌による二次感染を防ぐために、抗生物質入りの軟膏が処方されることもあります。そして、重症化のリスクが高い場合(アトピー性皮膚炎を持つ患者、ステロイド治療中など)、あるいは12歳以上の年長児や大人が発症した場合には、ウイルスの増殖を抑える「抗ウイルス薬(アシクロビルなど)」の内服薬が処方されます。この薬は、発症後早期に(できれば24~48時間以内に)開始することで、発疹の数や発熱期間を短縮し、合併症のリスクを軽減する効果が期待できます。治療の主役となるのは、病院での薬物療法以上に、家庭での適切なケアです。まず、何よりも大切なのが、水疱を「掻き壊さない」ことです。子どもの爪は短く切り、清潔に保ちましょう。ミトンなどを着けるのも有効です。かゆみが強い時は、冷たいタオルで患部を優しく冷やすと、一時的にかゆみが和らぎます。入浴は、高熱がなく、本人が元気であれば、シャワー浴は可能です。石鹸をよく泡立てて、手のひらで優しく体を洗い、シャワーで汗や汚れを洗い流すことで、皮膚を清潔に保ち、細菌の二次感染を防ぎます。ただし、湯船に長く浸かると、体温が上がってかゆみが強くなったり、水疱がふやけて破れやすくなったりするため、避けるのが無難です。食事は、口の中に発疹ができている場合は、しみにくい、喉ごしの良いもの(ゼリー、プリン、冷たいスープなど)が良いでしょう。水分補給は、脱水を防ぐために非常に重要です。
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熱が下がらない時に疑うべき肺炎や中耳炎などの合併症
処方された抗生物質が、耐性菌でなく、有効なはずなのに、それでも熱が下がらない。このような場合は、マイコプラズマ感染症そのものだけでなく、それに伴う「合併症」が、発熱の原因となっている可能性を考える必要があります。マイコプラズマは、気道に感染し、しつこい咳を引き起こしますが、その炎症が、さらに深刻な状態へと進行することがあります。最も頻度の高い呼吸器系の合併症が、「マイコプラズマ肺炎」の重症化です。マイコプラズマ感染症の約3~10%が肺炎に至るとされていますが、その炎症が広範囲に及んだり、胸水(肺と胸壁の間に水がたまる)を伴ったりすると、発熱も長引き、呼吸状態が悪化します。咳がさらにひどくなり、息苦しさや胸の痛みといった症状が現れた場合は、肺炎が悪化しているサインです。また、気道の炎症によって、粘膜のバリア機能が低下すると、そこに別の細菌が二次的に感染しやすくなります。その代表が、「細菌性肺炎」の合併です。肺炎球菌やインフルエンザ菌といった、普段は喉でおとなしくしている細菌が、肺に侵入して、新たな肺炎を引き起こすのです。この場合、咳と共に、黄色や緑色の膿のような痰が出るようになるのが特徴です。呼吸器以外で、特に子どもに多い合併症が「急性中耳炎」です。マイコプラズマ感染によって、鼻や喉の炎症が、耳管という、喉と耳をつなぐ管を介して、中耳にまで波及します。急に耳の痛みを訴えたり、機嫌が悪くなったり、耳だれが出たりした場合は、中耳炎を合併している可能性があります。その他、「副鼻腔炎(蓄膿症)」も、比較的よく見られる合併症です。鼻づまりや、色のついた粘り気のある鼻水、頭痛などが主な症状です。これらの合併症を発症している場合、マイコプラズマに対する抗生物質だけでは不十分で、それぞれの病態に応じた追加の治療が必要となります。例えば、細菌性肺炎や中耳炎を合併していれば、その原因菌をターゲットとした、別の種類の抗生物質が必要になるかもしれません。熱が下がらず、咳以外の新たな症状(胸痛、耳痛、頭痛など)が現れた場合は、合併症を疑い、必ず再受診して、医師に詳しく診察してもらうことが重要です。
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熱が下がった後も注意、マイコプラズマの回復期
マイコプラズマ感染症で、数日間にわたる高熱の時期を乗り越え、ようやく熱が下がった時、患者本人も家族も、ほっと一息つくことでしょう。しかし、解熱した後も、しばらくは注意が必要な期間が続きます。熱が下がったからといって、病気が完全に治癒したわけではないのです。マイコプラズマ感染症の回復期には、いくつかの特徴的な症状が残ることがあります。最も多くの人が経験するのが、「長引く咳」です。熱は下がって、体の倦怠感はなくなったのに、咳だけが、その後2~4週間、あるいはそれ以上にわたって、しつこく続くことがあります。これは、マイコプラズマの感染によって、気道の粘膜が深く傷つき、過敏な状態になっているために起こります。冷たい空気や、ホコリ、会話などの、わずかな刺激でも、咳のスイッチが入ってしまうのです。この回復期の咳に対しては、抗生物質はもはや不要であり、気道の炎症を抑える薬や、咳止め、あるいは気管支拡張薬などが、症状に応じて用いられます。また、マイコプラズマ感染症は、気道過敏性を亢進させることで、「喘息」の発症や、もともと喘息を持っている人の発作を、誘発することがあると知られています。解熱後に、ゼーゼー、ヒューヒューといった喘鳴が続く場合は、喘息の可能性も考え、呼吸器内科やアレルギー科での精査が必要になることがあります。そして、忘れてはならないのが、ごく稀に起こる「回復期の合併症」です。マイコプラズマ感染から2~4週間ほど経ってから、心臓の筋肉に炎症が起こる「心筋炎」や、脳や脊髄に炎症が及ぶ「脳炎・髄膜炎」、あるいは多形滲出性紅斑といった皮膚症状など、呼吸器以外の合併症が現れることが報告されています。熱が下がって元気になった後に、胸の痛みや、激しい頭痛、意識状態の変化、あるいは原因不明の発疹といった、新たな症状が出現した場合は、マイコプラズマの後期合併症の可能性も念頭に、速やかに医療機関を受診してください。解熱後は、徐々に普段の生活に戻していくことが大切ですが、体力が完全に回復するまでは、無理は禁物です。十分な栄養と休養を心がけ、体の小さな変化にも、注意を払うようにしましょう。