慢性疾患の予防・生活改善・栄養サポート情報

医療
  • 整形外科の役割、骨折の診断から治療、リハビリまで

    医療

    骨折治療の主役となる「整形外科」。この診療科では、骨折に対して、どのようなアプローチで診断と治療が進められていくのでしょうか。まず、患者さんが「痛い、腫れている」と訴えて来院すると、医師は「問診」から診察を始めます。いつ、どこで、どのようにして怪我をしたのか、という受傷機転を詳しく聞き取ることは、骨折の有無や種類を推測する上で、非常に重要な情報となります。次に、「視診」と「触診」です。患部の腫れや変形、皮膚の色の変化などを目で見て確認し、痛みの最も強い場所(圧痛点)や、骨が異常に動く感じ(異常可動性)、骨がきしむ音(軋轢音)などを、手で触れて慎重に確かめます。そして、診断を確定させるために、最も重要な検査である「レントゲン(X線)撮影」が行われます。通常、2方向以上(正面と側面など)から撮影することで、骨の連続性が途絶えている「骨折線」や、骨のズレ(転位)の程度を、客観的に評価します。レントゲンだけでは判断が難しい、微細な骨折(不全骨折)や、関節内の複雑な骨折の場合は、さらに詳しく調べるために、「CT検査」や「MRI検査」が追加されることもあります。診断が確定すると、治療方針が決定されます。骨折治療の基本原則は、折れた骨を元の正しい位置に戻し(整復)、それが再びずれないように固定し(固定)、骨が癒合するのを待つ、というものです。骨のズレが少ない場合は、手術をしない「保存的治療」が選択されます。ギプスやシーネ、あるいは装具を用いて、骨がつくまでの数週間から数ヶ月間、患部を固定します。一方、骨のズレが大きい場合や、関節内の骨折、あるいは早期の社会復帰が望まれる場合には、手術的な治療が選択されます。手術では、金属製のプレートやスクリュー、釘(髄内釘)などを用いて、折れた骨を内側から強固に固定します(内固定)。手術のメリットは、より正確な整復が可能であることと、強固な固定によって、ギプス固定が不要になったり、早期からリハビリテーションを開始できたりする点にあります。そして、骨がある程度ついた後、治療の総仕上げとして重要になるのが、「リハビリテーション」です。長期間の固定によって硬くなった関節の動き(可動域)を回復させ、弱くなった筋力を取り戻すための運動療法を、理学療法士の指導のもとで行います。

  • 【皮膚のトラブル】魚の目・タコ・イボ、痛みの原因と皮膚科の役割

    医療

    足の裏の痛みの原因は、骨や筋肉、神経だけでなく、皮膚そのもののトラブルであることも少なくありません。特に、特定の場所に限局した、押すと芯があるような痛みを感じる場合、それは「魚の目(鶏眼)」や「タコ(胼胝)」、あるいは「ウイルス性のイボ(足底疣贅)」の可能性があります。これらの皮膚疾患の診断と治療を専門とするのが「皮膚科」です。まず、「魚の目(鶏眼)」と「タコ(胼胝)」は、どちらも足の裏の特定の場所に、慢性的な圧迫や摩擦が加わり続けることで、皮膚の角質が厚くなる状態です。タコは、皮膚の表面に向かって角質が広く厚くなるため、痛みはあまりなく、どちらかというと感覚が鈍くなることが多いです。一方、魚の目は、厚くなった角質が、皮膚の内側に向かって楔(くさび)状に芯のように食い込んでいくため、歩くたびにその芯が神経を圧迫し、強い痛みを引き起こします。特に、足の指の上や、指の間、足の裏の骨の出っ張った部分にできやすいです。これらの原因は、サイズの合わない靴や、歩き方の癖などによるものです。次に、「ウイルス性のイボ(足底疣贅)」は、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスが、皮膚の小さな傷口から感染することでできます。見た目は魚の目に似ていますが、表面がザラザラしていて、よく見ると小さな黒い点々(出血の跡)が見られるのが特徴です。削ると点状に出血します。魚の目と異なり、圧迫すると痛むだけでなく、横からつまんでも痛みを感じることがあります。また、ウイルス性なので、削ったりすると周囲に広がったり、他の人にうつしたりする可能性があります。皮膚科では、まず見た目や症状から、これらの疾患を鑑別診断します。鑑別が難しい場合は、表面を削ってウイルス性のイボに特徴的な所見があるかを確認します。治療は、それぞれ異なります。魚の目やタコは、厚くなった角質をメスや専用の器具で定期的に削り取る処置が基本です。同時に、原因となっている圧迫を取り除くため、靴の見直しや、保護パッド、インソールの使用が指導されます。一方、ウイルス性のイボの治療は、液体窒素でイボを凍らせて壊死させる「冷凍凝固療法」が一般的です。この治療は、数週間に一度、複数回の通院が必要となります。その他、サリチル酸の外用や、ヨクイニンの内服などが併用されることもあります。

  • 突発性発疹で病院へ、受診のタイミングと診療科

    医療

    赤ちゃんの「初めての発熱」の原因として、最も多いとされる「突発性発疹」。ある日突然、38度を超える高熱が出るため、多くの新米パパ・ママは、パニックに陥ってしまうかもしれません。「すぐに病院へ連れて行くべきか?」「夜間救急に駆け込むべきか?」と、判断に迷うのは当然のことです。ここでは、突発性発疹が疑われる際の、適切な受診のタイミングと、診療科について解説します。まず、受診すべき診療科は、赤ちゃんと子どもの病気の専門家である、かかりつけの「小児科」です。小児科医は、突発性発疹の典型的な経過を熟知しており、他の似たような症状を示す病気(インフルエンザ、アデノウイルス感染症、川崎病など)との鑑別を、的確に行うことができます。次に、最も悩ましい「受診のタイミング」です。結論から言うと、突発性発疹が強く疑われる場合、必ずしも夜間や休日に、慌てて救急外来を受診する必要はありません。なぜなら、突発性発疹は、基本的に予後が良好なウイルス性疾患であり、特効薬もなく、治療は症状を和らげる対症療法が中心となるからです。受診の最も適切なタイミングは、「日中の診療時間内」です。ただし、これは、赤ちゃんの全身状態が良い、ということが大前提となります。具体的には、高熱はあっても、①機嫌がそれほど悪くなく、あやすと笑う、②母乳やミルク、水分を、いつも通りとはいかなくても、ある程度は飲めている、③顔色が悪くない、といった状態であれば、まずは家庭で水分補給やクーリングなどのケアをしながら、翌日の日中の診療時間にかかりつけ医を受診するので十分です。一方で、月齢が低い(特に生後3ヶ月未満の)赤ちゃんの発熱や、「ぐったりしていて活気がない」「水分を全く受け付けない」「けいれんを起こした」といった、危険なサインが見られる場合は、話は別です。この場合は、突発性発疹以外の、重篤な病気の可能性も考える必要があるため、夜間や休日であっても、ためらわずに救急病院を受診する必要があります。

  • 糖尿病の三大合併症、なぜ早期発見が重要なのか

    医療

    糖尿病という病気の本当に恐ろしい点は、病気そのものによる自覚症状が、初期にはほとんどないこと、そして、気づかないうちに、全身の血管に深刻なダメージを与え、様々な「合併症」を引き起こすことにあります。この合併症こそが、患者さんの生活の質(QOL)を著しく低下させ、時には命に関わる事態を招く、最大の脅威なのです。糖尿病の合併症は、主に、細い血管が障害される「細小血管症」と、太い血管が障害される「大血管症」に分けられます。中でも、糖尿病に特有の合併症として知られるのが、細小血管症である「三大合併症」です。第一に、「糖尿病網膜症」です。これは、目の奥にある、光を感じるための重要な膜である「網膜」の細い血管が、高血糖によってダメージを受け、出血したり、詰まったりする病気です。初期には自覚症状が全くありませんが、進行すると、視力が低下し、最悪の場合は失明に至ります。成人の失明原因の、常に上位を占めるのが、この糖尿病網膜症です。第二に、「糖尿病性腎症」です。腎臓は、血液を濾過して、老廃物を尿として排出する、フィルターの役割を担っています。高血糖が続くと、この腎臓のフィルター機能を持つ、糸球体という部分の細い血管が傷つき、徐々に機能が失われていきます。進行すると、体内に老廃物が溜まってしまう「腎不全」という状態になり、最終的には、生命を維持するために、週に数回の「人工透析」が必要となります。第三に、「糖尿病性神経障害」です。これは、神経細胞に栄養を送る細い血管が障害されたり、高血糖そのものが神経にダメージを与えたりすることで、全身の末梢神経に異常が生じる病気です。足の先や裏から、ジンジン、ピリピリとした、しびれや痛みが始まることが多く、進行すると感覚が鈍くなり、怪我ややけどに気づきにくくなります。これが、足の潰瘍や壊疽の原因となるのです。これらの三大合併症は、いずれも、血糖コントロールを良好に保つことで、その発症や進行を、大幅に遅らせることができます。しかし、一度進行してしまうと、元の状態に戻すことは非常に困難です。だからこそ、自覚症状がない早い段階で、健康診断や検査によって糖尿病を発見し、手遅れになる前に、適切な治療と管理を開始することが、何よりも重要となるのです。

  • マイコプラズマと他の発熱性疾患との鑑別

    医療

    高熱と咳が続く場合、その原因が必ずしもマイコプラズマ感染症であるとは限りません。特に、治療を行っても熱が下がらない場合は、「そもそも診断が違うのではないか?」という視点を持つことも重要です。医師は、常に他の様々な発熱性疾患の可能性を念頭に置きながら、鑑別診断を進めています。マイコプラズマと症状が似ており、鑑別が必要となる代表的な病気をいくつか紹介します。まず、冬場であれば、最も鑑別すべきは「インフルエンザ」です。インフルエンザは、突然の高熱と、強い悪寒、頭痛、筋肉痛・関節痛といった、激しい全身症状で発症するのが特徴です。マイコプラズマも高熱や倦怠感を伴いますが、インフルエンザほどの急激で激烈な全身症状は、比較的少ないとされています。次に、同じく非定型肺炎の原因となる「クラミジア肺炎」や、近年注目されている「ヒトメタニューモウイルス感染症」も、マイコプラズマと症状が酷似しており、臨床症状だけで見分けるのは非常に困難です。また、子どもの間で流行する「アデノウイルス感染症(プール熱)」は、高熱と、喉が真っ赤に腫れる強い咽頭炎、そして目の充血(結膜炎)を三主徴とします。目の症状が、鑑別の大きなポイントとなります。細菌感染症としては、「百日咳」も、特に初期は風邪様の症状から始まり、発熱を伴うことがあります。その後、特徴的な発作性の激しい咳(痙咳)に移行していきます。そして、最も注意深く鑑別しなければならないのが、肺炎球菌などによる「細菌性肺炎」です。細菌性肺炎は、マイコプラズマの乾いた咳とは対照的に、黄色や緑色の膿のような痰を伴うことが多く、胸の痛みを訴えることもあります。重症化しやすいため、早期の抗生物質治療が不可欠です。さらに、稀ではありますが、「川崎病」も、高熱と咳で発症することがあります。川崎病は、5日以上続く発熱に加え、目の充血や、いちご舌、首のリンパ節の腫れ、不定形の発疹といった、特徴的な他の症状を伴います。これらの病気は、それぞれ治療法が全く異なります。熱が下がらない場合は、これらの他の病気の可能性も考え、血液検査や、各種の迅速検査、レントゲン撮影など、追加の検査を行い、原因を再評価することが、正しい治療へと繋がるのです。

  • 水いぼのピンセット除去、その治療法と受診すべき科

    医療

    子どもの体に、光沢のある、中央が少しへこんだ小さなブツブツができる「水いぼ」。その正式名称は「伝染性軟属腫(でんせんせいなんぞくしゅ)」といい、ウイルス感染によって引き起こされる皮膚の病気です。この水いぼの治療法として、古くから行われ、現在でも最も確実で即効性のある方法の一つが、「ピンセットによる除去」です。この治療法は、専用の先の丸い特殊なピンセット(鑷子・せっし)を用いて、水いぼの一つ一つを物理的につまみ、中に含まれているウイルスのかたまり(軟属腫小体)を取り除くという、非常に直接的なアプローチです。なぜ、このような物理的な方法が選ばれるのでしょうか。それは、水いぼがウイルス性のイボであり、その芯となっているウイルス塊を完全に取り除いてしまえば、その部分の水いぼは確実に治癒するからです。塗り薬などの効果が現れるまでに時間がかかる治療法と比べて、処置したその場で原因を取り除けるという、即時性と確実性が、この治療法の最大のメリットと言えます。処置は、主に「皮膚科」または「小児科」で行われます。皮膚科は皮膚疾患の専門家であり、正確な診断と、より専門的な手技が期待できます。一方、かかりつけの小児科でも、日常的によく見られる疾患であるため、多くの医師がピンセットによる除去に対応しています。どちらの科を受診するかは、かかりつけ医との信頼関係や、麻酔テープの使用方針などを考慮して選ぶと良いでしょう。水いぼは、放置しても自然に治ることが多いですが、それまでには半年から数年かかることもあり、その間に掻き壊して自家接種で増えたり、他の子にうつしてしまったりするリスクがあります。特に、保育園やスイミングスクールなどで、除去を求められるケースも少なくありません。ピンセットによる除去は、痛みを伴うという大きなデメリットがありますが、それを乗り越えるための工夫も進んでいます。

  • ピンセット以外の選択肢、水いぼの様々な治療法

    医療

    水いぼの治療法として、ピンセットによる除去は確実性が高い一方で、痛みを伴うため、子どもへの負担を考えて、他の治療法を選択したいと考える保護者の方も多いでしょう。幸い、水いぼの治療には、ピンセット以外にもいくつかの選択肢があり、それぞれのメリット・デメリットを理解した上で、子どもの年齢や性格、水いぼの数や場所、そして生活環境(スイミングに通っているかなど)を考慮して、医師と相談しながら最適な方法を選ぶことが大切です。まず、最も穏やかな選択肢が「自然治癒を待つ」という方法です。水いぼは、ウイルスに対する免疫が獲得されれば、治療をしなくても、いずれは自然に治癒します。その期間は、個人差が大きく、短い場合で半年、長い場合は2~3年かかることもあります。痛みを伴う処置を一切しなくてよいというのが最大のメリットですが、治るまでの間に、掻き壊して数が増えたり、他の子にうつしてしまったりするリスクがあるというデメリットがあります。次に、イボの治療で一般的に行われる「液体窒素療法」です。これは、マイナス196度の超低温の液体窒素を、綿棒などで水いぼに当てて、ウイルスに感染した細胞を凍結させて壊死させる治療法です。ピンセットほどの強い痛みはありませんが、ピリピリとした、あるいは焼けるような独特の痛みを伴います。一度では治りきらないことが多く、1~2週間おきに、数回の通院が必要となります。また、処置後に、色素沈着(シミ)や、逆に色素が抜けて白くなる(色素脱失)が残ることがあるのが難点です。その他にも、いくつかの治療法があります。角質を柔らかくする作用のある「サリチル酸絆創膏(スピール膏)」を小さく切って貼り、水いぼをふやかして除去しやすくする方法や、硝酸銀を塗って、水いぼの組織を化学的に腐食させる「硝酸銀ペースト法」などがあります。また、体の免疫力を高めることで、ウイルスの排除を促すことを期待して、「ヨクイニン(ハトムギのエキス)」の内服薬が処方されることもありますが、その効果は穏やかで、個人差が大きいとされています。どの治療法が最適かは、一概には言えません。それぞれの特徴をよく理解し、医師と十分に話し合って、親子で納得のいく治療法を選択することが重要です。

  • 糖尿病の検査、何科を受診すればよいのか

    医療

    健康診断で「血糖値が高め」「尿糖が出ています」と指摘された、あるいは、最近になって「異常に喉が渇く」「トイレが近い」「急に体重が減った」といった、気になる症状がある。このような時、「もしかして糖尿病かもしれない」と不安に思い、専門的な検査を受けることを考えるでしょう。その際、多くの人が最初に直面するのが、「一体、何科を受診すればよいのだろう?」という疑問です。結論から言うと、糖尿病の診断と治療を専門的に行う診療科は、「糖尿病内科」「内分泌内科」、あるいは「代謝内科」です。これらの科は、糖尿病の原因であるインスリンというホルモンの異常や、糖代謝のメカニズムを専門的に扱うエキスパートです。しかし、全ての病院にこれらの専門科が設置されているわけではありません。そのような場合は、まず、最も身近な医療の窓口である「一般内科」を受診することで、全く問題ありません。内科医は、糖尿病を含む、幅広い内科系疾患の初期診断と治療を行うことができます。健康診断の結果や、自覚症状を伝えれば、内科で基本的な血液検査や尿検査を行い、糖尿病の診断基準に照らし合わせて、糖尿病であるか、あるいはその一歩手前の予備群(境界型)であるかを判断してくれます。そして、診断が確定した後の治療方針も、かかりつけの内科医と相談しながら進めていくことが可能です。ただし、血糖値が非常に高い場合や、すでに合併症が進行している可能性がある場合、あるいはインスリン注射の導入が必要となるようなケースでは、内科医から、より専門的な治療が可能な糖尿病専門医のいる病院やクリニックへ、紹介されることもあります。まずは、一人で不安を抱え込まず、健康診断の結果票を持って、近隣の内科、あるいは専門科の扉を叩くこと。それが、糖尿病の早期発見と、適切な管理への最も重要な第一歩となるのです。

  • 糖尿病予備群(境界型)と診断されたら何科へ?

    医療

    健康診断などで、「糖尿病予備群(境界型糖尿病)」あるいは、「耐糖能異常」と指摘された。これは、血糖値やヘモグロビンA1cの値が、正常ではないものの、まだ糖尿病と診断されるほどの高さには至っていない、「黄色信号」の状態です。この段階では、多くの場合、自覚症状は全くありません。そのため、「まだ病気じゃないなら大丈夫だろう」と、つい放置してしまいがちですが、それは非常に危険な考え方です。糖尿病予備群は、将来的に本格的な糖尿病へと移行するリスクが極めて高い状態であると同時に、この段階からすでに、動脈硬化が静かに進行し始めていることが分かっています。したがって、この「黄色信号」の時点で、いかに適切な対策を講じるかが、その後の健康寿命を大きく左右する、極めて重要な分岐点となるのです。では、糖尿病予備群と診断されたら、何科を受診すればよいのでしょうか。この場合も、基本的には、かかりつけの「内科」で十分な対応が可能です。内科医は、あなたの検査データと、現在の生活習慣(食事、運動、喫煙、飲酒など)を総合的に評価し、本格的な糖尿病への移行を防ぐための、具体的なアドバイスをしてくれます。予備群の段階での治療の基本は、薬物療法ではなく、「食事療法」と「運動療法」です。医師や、病院に在籍する管理栄養士、理学療法士といった専門家の指導のもと、自分に合った、継続可能な生活習慣の改善プランを立てていきます。例えば、食事では、総カロリーの適正化や、栄養バランスの見直し、食べる順番の工夫(野菜から先に食べるベジファーストなど)が指導されます。運動では、ウォーキングやジョギングといった有酸素運動を、無理のない範囲で、週に3~5日程度行うことが推奨されます。定期的に内科を受診し、数ヶ月ごとに血液検査で血糖値やHbA1cの推移をチェックしてもらうことで、自分の努力の成果が目に見え、モチベーションの維持にも繋がります。もちろん、より専門的な指導を受けたい場合や、他の生活習慣病も合併している場合には、「糖尿病内科」や「内分泌内科」を受診するのも良い選択です。予備群の段階での介入は、いわば未来の健康への投資です。指摘を受けたら、先延ばしにせず、ぜひ医療機関の扉を叩いてください。

  • 解熱しない時の受診の目安と何科に行くべきか

    医療

    マイコプラズマ感染症の治療中に、熱がなかなか下がらない時、あるいは一度下がった熱がぶり返してきた時、保護者としては、どのタイミングで、どの診療科を再受診すればよいか、判断に迷うことがあるでしょう。ここでは、具体的な受診の目安と、適切な診療科について解説します。まず、受診すべき診療科は、最初に診断を受けた、かかりつけの「小児科」または「内科」で問題ありません。これまでの治療経過を把握している主治医に、再度診てもらうのが、最もスムーズです。もし、咳や息苦しさといった呼吸器症状が特に強い場合は、「呼吸器内科」の受診も良い選択肢です。次に、再受診を検討すべき「タイミング」です。以下の目安を参考にしてください。①抗生物質を飲み始めてから、48~72時間経っても、38.5度以上の高熱が続く場合。これは、処方された薬が効いていない、すなわち「薬剤耐性菌」の可能性を強く示唆します。治療薬の変更を検討する必要があるため、速やかな再受診が必要です。②一度解熱した後に、再び38度以上の熱が出てきた場合(熱のぶり返し)。前述の通り、細菌感染の合併など、新たな問題が起きているサインかもしれません。③呼吸状態が悪化してきた場合。これが最も重要なサインです。「咳がひどくなり、眠れない」「息が苦しそう、肩で息をしている」「息を吸う時に、胸や鎖骨の上がペコペコとへこむ(陥没呼吸)」「顔色が悪く、唇が紫色っぽい(チアノーゼ)」。これらの症状は、肺炎が重症化し、呼吸困難に陥っている危険な兆候です。夜間や休日であっても、ためらわずに救急外来を受診してください。④水分がほとんど摂れず、ぐったりしている場合。高熱と咳は、体力を著しく消耗し、脱水症状を引き起こしやすくします。「半日以上おしっこが出ていない」「口の中が乾いている」「泣いても涙が出ない」といった脱水のサインが見られたら、点滴による水分補給が必要なため、受診が必要です。⑤咳以外の、強い症状が現れた場合。「激しい頭痛や嘔吐を繰り返す(髄膜炎の疑い)」「胸の痛みを訴える(心筋炎や胸膜炎の疑い)」「耳をひどく痛がる(中耳炎の疑い)」。これらの症状は、重篤な合併症の可能性を示します。熱が下がらないという事実は、治療が順調に進んでいないことの現れです。

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