水いぼの治療法として、ピンセットによる除去は確実性が高い一方で、痛みを伴うため、子どもへの負担を考えて、他の治療法を選択したいと考える保護者の方も多いでしょう。幸い、水いぼの治療には、ピンセット以外にもいくつかの選択肢があり、それぞれのメリット・デメリットを理解した上で、子どもの年齢や性格、水いぼの数や場所、そして生活環境(スイミングに通っているかなど)を考慮して、医師と相談しながら最適な方法を選ぶことが大切です。まず、最も穏やかな選択肢が「自然治癒を待つ」という方法です。水いぼは、ウイルスに対する免疫が獲得されれば、治療をしなくても、いずれは自然に治癒します。その期間は、個人差が大きく、短い場合で半年、長い場合は2~3年かかることもあります。痛みを伴う処置を一切しなくてよいというのが最大のメリットですが、治るまでの間に、掻き壊して数が増えたり、他の子にうつしてしまったりするリスクがあるというデメリットがあります。次に、イボの治療で一般的に行われる「液体窒素療法」です。これは、マイナス196度の超低温の液体窒素を、綿棒などで水いぼに当てて、ウイルスに感染した細胞を凍結させて壊死させる治療法です。ピンセットほどの強い痛みはありませんが、ピリピリとした、あるいは焼けるような独特の痛みを伴います。一度では治りきらないことが多く、1~2週間おきに、数回の通院が必要となります。また、処置後に、色素沈着(シミ)や、逆に色素が抜けて白くなる(色素脱失)が残ることがあるのが難点です。その他にも、いくつかの治療法があります。角質を柔らかくする作用のある「サリチル酸絆創膏(スピール膏)」を小さく切って貼り、水いぼをふやかして除去しやすくする方法や、硝酸銀を塗って、水いぼの組織を化学的に腐食させる「硝酸銀ペースト法」などがあります。また、体の免疫力を高めることで、ウイルスの排除を促すことを期待して、「ヨクイニン(ハトムギのエキス)」の内服薬が処方されることもありますが、その効果は穏やかで、個人差が大きいとされています。どの治療法が最適かは、一概には言えません。それぞれの特徴をよく理解し、医師と十分に話し合って、親子で納得のいく治療法を選択することが重要です。