麦粒腫の症状は、その発症から治癒まで、比較的典型的な経過をたどります。この流れを知っておくことで、現在の自分の状態を把握し、冷静に対処することができます。**【初期段階:発症~1日目】全ては、まぶたの縁の、わずかな違和感から始まります。最初は、軽いかゆみや、まばたきをした時のゴロゴ- chíとした異物感、あるいは限局した部分の、ほんのりとした赤みとして自覚されることが多いです。この時点では、まだ痛みはそれほど強くありません。【炎症期:2~3日目】この時期になると、症状は本格化します。赤みはより鮮明になり、炎症を起こしている部分が、ぷくっと小さく腫れあがります。そして、ズキズキ、あるいはジンジンとした、拍動感のある「痛み」が、はっきりと感じられるようになります。この痛みが、麦粒腫の最もつらい症状です。まばたきや、指で軽く触れるだけで、痛みが強くなります。目の充血や、涙目、目やにが増えるといった症状を伴うこともあります。【化膿期:3~5日目】炎症がピークに達すると、腫れている部分の中心に、膿が溜まって、白あるいは黄色っぽい点(膿点)が見えるようになります。この膿点が、皮膚の表面に近い外麦粒腫の場合は、比較的はっきりと確認できます。膿が溜まって、まぶたがパンパンに張ってくると、痛みも最も強くなります。そして、この膿点が、自然に破れて、膿が排出されると(自然排膿)、これまで溜まっていた内圧が下がるため、あれほどひどかった痛みや腫れが、嘘のように、急速に和らいでいきます。【治癒期:5~7日目以降】**膿が排出された後は、傷が治る過程に入ります。赤みや腫れは、日に日に引いていき、通常は、発症から1週間から10日程度で、跡を残さずにきれいに治癒します。ただし、膿がうまく排出されずに、炎症が長引いたり、しこりのように残ってしまったりすることもあります。また、自分で無理に潰してしまうと、細菌が周囲の組織に広がり、まぶた全体がひどく腫れあがる「眼瞼蜂窩織炎(がんけんほうかしきえん)」という、より重篤な状態に移行する危険性もあるため、絶対に避けるべきです。
麦粒腫の症状、初期から治るまでの典型的な経過