足の裏の痛みの原因は、骨や筋肉、神経だけでなく、皮膚そのもののトラブルであることも少なくありません。特に、特定の場所に限局した、押すと芯があるような痛みを感じる場合、それは「魚の目(鶏眼)」や「タコ(胼胝)」、あるいは「ウイルス性のイボ(足底疣贅)」の可能性があります。これらの皮膚疾患の診断と治療を専門とするのが「皮膚科」です。まず、「魚の目(鶏眼)」と「タコ(胼胝)」は、どちらも足の裏の特定の場所に、慢性的な圧迫や摩擦が加わり続けることで、皮膚の角質が厚くなる状態です。タコは、皮膚の表面に向かって角質が広く厚くなるため、痛みはあまりなく、どちらかというと感覚が鈍くなることが多いです。一方、魚の目は、厚くなった角質が、皮膚の内側に向かって楔(くさび)状に芯のように食い込んでいくため、歩くたびにその芯が神経を圧迫し、強い痛みを引き起こします。特に、足の指の上や、指の間、足の裏の骨の出っ張った部分にできやすいです。これらの原因は、サイズの合わない靴や、歩き方の癖などによるものです。次に、「ウイルス性のイボ(足底疣贅)」は、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスが、皮膚の小さな傷口から感染することでできます。見た目は魚の目に似ていますが、表面がザラザラしていて、よく見ると小さな黒い点々(出血の跡)が見られるのが特徴です。削ると点状に出血します。魚の目と異なり、圧迫すると痛むだけでなく、横からつまんでも痛みを感じることがあります。また、ウイルス性なので、削ったりすると周囲に広がったり、他の人にうつしたりする可能性があります。皮膚科では、まず見た目や症状から、これらの疾患を鑑別診断します。鑑別が難しい場合は、表面を削ってウイルス性のイボに特徴的な所見があるかを確認します。治療は、それぞれ異なります。魚の目やタコは、厚くなった角質をメスや専用の器具で定期的に削り取る処置が基本です。同時に、原因となっている圧迫を取り除くため、靴の見直しや、保護パッド、インソールの使用が指導されます。一方、ウイルス性のイボの治療は、液体窒素でイボを凍らせて壊死させる「冷凍凝固療法」が一般的です。この治療は、数週間に一度、複数回の通院が必要となります。その他、サリチル酸の外用や、ヨクイニンの内服などが併用されることもあります。