子どもの体にできた水いぼを見て、「数が少ないうちなら、家にある毛抜きピンセットで自分で取ってしまえるのではないか?」と、安易に考えてしまう保護者の方がいるかもしれません。しかし、水いぼの自己処理は、絶対にやめてください。家庭でのピンセットによる除去は、メリットよりもはるかに大きなリスクを伴い、かえって症状を悪化させ、子どもの体に不要な傷跡を残してしまう可能性が非常に高い、危険な行為です。まず、最大のリスクが「不衛生な処置による細菌感染」です。医療機関で使用されるピンセットは、高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)などによって、完全に滅菌処理されています。一方、家庭にあるピンセットは、いくらアルコールで拭いたとしても、無菌状態ではありません。不衛生な器具で皮膚に傷をつければ、そこから黄色ブドウ球菌などの細菌が侵入し、傷口が化膿したり、周囲の皮膚が赤く硬く腫れる「蜂窩織炎(ほうかしきえん)」になったりする危険性があります。さらに、水いぼを掻き壊した場所に細菌が感染すると、ジュクジュクとした「とびひ(伝染性膿痂疹)」に移行し、体のあちこちに広がってしまうこともあります。次に、「不完全な除去による再発と拡大」のリスクです。水いぼの芯である「軟属腫小体」は、非常に小さく、もろいものです。専門家でないと、これを完全に取り除くのは難しく、少しでも取り残しがあれば、そこからウイルスが再び増殖し、同じ場所に再発してしまいます。また、処置の際にウイルスを含む内容物が周囲の皮膚に付着すると、そこから新たな水いぼが発生する「自家接種」を、かえって助長してしまうことになりかねません。そして、子どもの肌に「傷跡(瘢痕)」を残してしまうリスクも深刻です。無理な力でつまみ取ろうとすると、必要以上に皮膚を傷つけてしまい、クレーターのようなへこんだ跡や、色素沈着が永続的に残ってしまう可能性があります。痛みを伴う処置は、子どもに大きな恐怖心とトラウマを与え、その後の病院嫌いの原因にもなり得ます。水いぼの治療は、安全な医療機関で、適切な知識と技術を持った専門家(医師や看護師)に任せることが、最も確実で、子どもの体への負担が少ない方法なのです。
自宅でピンセットは絶対ダメ!水いぼ自己処理の危険性