下肢静脈瘤の治療は、ここ十数年で劇的な進歩を遂げました。かつては、「手術は痛くて入院が必要」「足に大きな傷跡が残る」といったイメージが強く、治療をためらう方も少なくありませんでした。しかし、現在では、患者さんの体への負担を最小限に抑えた「血管内治療」が主流となり、多くの方が日帰りで、より快適に治療を受けられるようになっています。今回は、専門医の立場から、下肢静脈瘤治療の最前線と、後悔しないための専門医選びのポイントについて解説します。かつての下肢静脈瘤治療の標準は、「ストリッピング手術」でした。これは、足の付け根や膝の裏などを切開し、逆流の原因となっている悪い静脈をワイヤーで引き抜くという方法です。確実な治療法ですが、全身麻酔や下半身麻酔が必要で、数日から一週間程度の入院を要し、術後の痛みや皮下出血も強いというデメリットがありました。しかし、2011年にレーザー治療、2014年に高周波(ラジオ波)治療が保険適用となったことで、治療の常識は一変しました。これらを総称して「血管内治療」と呼びます。この治療は、膝のあたりから細いカテーテル(管)を血管内に挿入し、レーザーや高周波の熱で、逆流している静脈を内側から焼いて閉塞させるというものです。局所麻酔で済み、皮膚を切開する必要がないため、傷跡は点滴の針の跡程度。施術時間も三十分から一時間程度で、術後の痛みも少なく、患者さんは治療後すぐに歩いて帰宅できます。この血管内治療の登場により、下肢静脈瘤は「気軽に日帰りで治せる病気」へと変わったのです。では、こうした最新の治療を安心して受けるためには、どのような基準で医師やクリニックを選べばよいのでしょうか。いくつか重要なポイントがあります。第一に、「下肢静脈瘤を専門とし、豊富な治療実績がある」ことです。クリニックのウェブサイトなどで、年間の手術・治療件数を確認しましょう。多くの症例を経験している医師は、様々なタイプの静脈瘤に対応できる技術と知識を持っています。第二に、「指導医・専門医の資格を持つ医師が在籍している」ことです。特に「下肢静脈瘤血管内焼灼術実施医・指導医」という資格は、一定の基準を満たした医師にしか与えられないため、一つの目安になります。第三に、「診断の基本である下肢血管超音波(エコー)検査を、医師自ら、あるいは専門の臨床検査技師が丁寧に行っている」ことです。