水いぼのピンセット除去を検討する上で、保護者が最も心配し、躊躇する原因となるのが、処置に伴う「痛み」です。水いぼをピンセットでつまみ取るという行為は、当然ながら痛みを伴い、特に感受性の高い子どもにとっては、大きな恐怖と苦痛を伴う体験となり得ます。この痛みの問題を解決するために、現在では、多くの医療機関で「麻酔テープ」が積極的に活用されています。麻酔テープは、局所麻酔薬(リドカインなど)が染み込んだシール状の貼り薬で、代表的なものに「ペンレステープ」や「リドカインテープ」があります。これを、水いぼを除去する予定の場所に、処置の約1時間前から貼っておくことで、皮膚の表面の感覚を麻痺させ、ピンセットで取る際の痛みを大幅に、あるいはほとんど感じなくさせることができます。この麻酔テープの効果を最大限に引き出すためには、正しい使い方が非常に重要です。まず、医師から処方されたテープを、除去したい水いぼの上に、空気が入らないようにぴったりと貼り付けます。テープは、水いぼそのものよりも少し大きめに覆うように貼るのがコツです。そして、テープが剥がれないように、その上からさらに防水性のフィルム(ドレッシング材)などで覆うと、麻酔成分がより効果的に皮膚に浸透します。最も重要なのが、「貼る時間」です。十分な麻酔効果が得られるまでには、少なくとも1時間、できれば1時間半から2時間程度は貼っておく必要があります。病院へ行く直前に慌てて貼っても、効果は期待できません。医療機関によっては、受診する1〜2時間前に自宅で貼ってくるように、事前にテープを処方してくれるところも多いです。ただし、麻酔テープは医薬品であり、副作用(皮膚の発赤、かゆみ、稀にショック症状など)のリスクもゼロではありません。使用する際は、必ず医師の指示に従い、用法・用量を守ることが大切です。この麻酔テープの登場により、かつては子どもが泣き叫びながら押さえつけられて行われていた水いぼの除去が、はるかに穏やかで、人道的な治療へと変わりました。治療を検討する際は、麻酔テープの使用について、事前に医療機関に確認することをお勧めします。
ピンセット除去の痛みと麻酔テープ(ペンレス)の正しい使い方