その日の夕方、学校から帰宅した息子が「喉がチクチクする」と訴え、顔が少し火照っていることに気づいたのが始まりでした。熱を測ると三十八度五分。当初はただの風邪だと思っていましたが、夜中になると息子がしきりに体を掻きむしり始め、寝苦しそうに何度も目を覚ますようになりました。明かりをつけて確認すると、胸からお腹にかけて、まるで細かい砂を撒いたような赤い発疹がびっしりと広がっており、私はその異様な光景に強いショックを受けました。翌朝、すぐに小児科を受診したところ、検査の結果は陽性。医師からは溶連菌感染症であると告げられました。医師は「この発疹はかゆみが強いことが多いですが、掻き壊さないように気をつけてください」と仰いました。しかし、分かっていても子どもにかゆみを我慢させるのは至難の業です。処方された抗生物質を飲み始めると、熱は半日ほどでするすると下がっていきましたが、皮肉なことにかゆみは熱が下がった後の方が強く現れたように見えました。息子は「体の中に虫がいるみたいにムズムズする」と言って、泣きながら腕や足を掻こうとします。私はまず、息子の爪をこれ以上ないほど短く切り、清潔を保つことに専念しました。かゆみを和らげるために、保冷剤を薄いタオルで包み、特に赤みが強い脇の下や股の付け根を優しく冷やしてあげました。冷やすことで血管が収縮し、かゆみの伝達が少しだけ鈍くなるようです。また、入浴は熱があるうちは控えましたが、解熱後も長湯は禁物でした。身体が温まると血流が良くなり、かゆみが激化してしまうからです。ぬるめのシャワーで皮膚の汚れをサッと流し、医師から処方された痒み止めの外用薬を丁寧に塗り広げました。夜間の痒みに対しては、医師に相談して抗ヒスタミン薬を処方してもらい、それが効いている間に少しでも長く眠れるよう環境を整えました。一週間ほど経つと、あんなに鮮やかだった赤みは落ち着き、今度は指先や顔の皮がポロポロと剥けてくる落屑の時期に入りました。この時期も乾燥によるかゆみが出やすいため、徹底した保湿ケアを続けました。今回の看病を通じて痛感したのは、溶連菌という病気は喉の痛み以上に、この執拗なかゆみとの戦いが親子の精神を削るということです。しかし、適切な治療と細やかなケアを続ければ、必ず出口は見えてきます。息子の肌が元通りの滑らかさを取り戻したとき、私たちはようやく本当の意味でこの病気を乗り越えたのだと実感することができました。