水いぼは、一度できてしまうと、治癒までに長い時間がかかったり、痛みを伴う治療が必要になったりすることがあります。そのため、最も大切なのは、そもそも水いぼに「感染しない」こと、そして、もし感染してしまっても、それ以上「広げない」ことです。そのための予防策と、日常生活での注意点を理解しておきましょう。予防の基本は、「皮膚のバリア機能を高める」ことです。水いぼウイルスは、乾燥してカサカサしていたり、湿疹があったりする、バリア機能が低下した皮膚の、目に見えないような小さな傷から侵入します。したがって、日頃から、入浴後などに保湿剤を全身に塗り、肌を潤いのある健やかな状態に保つことが、最も効果的な予防策となります。特に、アトピー性皮膚炎を持つお子さんは、皮膚科医の指導のもと、ステロイド外用薬などで湿疹をしっかりとコントロールし、皮膚のバリアを正常に保つことが重要です。次に、もし水いぼができてしまった場合に、それを「広げない」ための対策です。最も重要なのが、「掻き壊しを防ぐ」ことです。水いぼには、かゆみを伴うことがあります。掻き壊すと、中のウイルスが飛び散り、周囲の皮膚に感染して、水いぼが爆発的に増える「自家接種」の原因となります。子どもの爪は常に短く切り、清潔に保ちましょう。かゆみが強い場合は、かかりつけ医に相談し、抗ヒスタミン薬の内服などを検討してもらいましょう。また、兄弟間での感染を防ぐための配慮も必要です。一緒の入浴は、肌が直接触れ合う機会となるため、できればシャワー浴にするか、水いぼがある子を最後に入れるなどの工夫をしましょう。バスタオルや、体を洗うスポンジ、水着などの共有は、絶対に避けてください。プールへの参加については、議論が分かれるところですが、現在では、日本臨床皮膚科医会や日本小児皮膚科学会から、「プールの水ではうつらないので、禁止する必要はない」という統一見解が出されています。ただし、タオルやビート板、浮き輪の共有を避けることや、掻き壊しを防ぐためにラッシュガードを着用するなどの配慮は、集団生活におけるマナーとして推奨されます。これらの地道な対策が、水いぼの感染拡大を防ぐための鍵となります。